第14回環境教育ポスターコンクール

2022年度の受賞作品をこのページでご紹介します。作者のコメント・審査委員の講評も併せて掲載しています。

【作品一覧】※受賞名をクリックするとそのポスターに移動します。

※過去の入賞作品はコンクールメモリーのページからご覧になれます。

■第14回環境教育ポスターコンクール 応募点数
ブロック 東日本 西日本 海外 合計
小学校 1167点 1273点 84点 2524点
中学校 1503点 1148点 20点 2671点
高校 187点 235点 1点 423点
合計 2857点 2656点 105点 5618点

2022年度の第14回環境教育ポスターコンクールでは、国内からは5513点、海外は20の国と地域から105点の作品が集まりました。
2022年11月20日にJPタワー ホール&カンファレンスにて、表彰式を開催しました。第4回子ども作文コンクール表彰式との同時開催です。 会場には受賞作品が展示され、審査委員による講評も同時に掲載されました。

表彰式の様子 表彰式の様子

表彰式に先立って、環境問題に対して自らにできる行動を考えるきっかけになることを願って、「環境教育シンポジウム」が開催されました。

表彰式の様子 表彰式の様子

ポスターコンクール表彰式では、表彰状・副賞の授与のあと、大臣賞受賞者からは、受賞者を代表してスピーチをいただきました。作品に込められた想いを話してくださいました。

表彰式の様子 表彰式の様子

式の最後には、清水泰博審査委員長より作品全体に対する講評がありました。

 受賞された皆様、おめでとうございます。今回の応募総数は5618点で、41点が受賞しました。ですから皆さんは100倍以上の倍率を突破して選ばれたということで、ぜひ自信を持ってこれからもやっていっていただければと思います。
 応募者の皆さんの関心がどこにあるのかの参考に、今回の受賞作品41点はどんなテーマで描かれているか、私なりに分析をしてみました。「ごみ問題」を扱った作品が14点。そのうち半分が「海洋ごみ」をテーマにしていました。「地球環境」が9点。「環境破壊」が8点。「地球温暖化」が8点。あとはコロナを扱ったものと、電気のことを描いた作品が1点ずつありました。内訳をみると、自然環境への関心が高いことが分かります。

 「芸術は自然を模倣する」という言葉があります。アリストテレスという2千年以上前の哲学者の言葉です。人が何かから刺激を受け、心を揺り動かされ、それを表現したいという思いから芸術が生まれました。その一番の起源は、おそらく自然だったのではないでしょうか。今はその自然が大きなダメージを受けている。このままではいけない、という思いでポスターを描かれた方が多いのではないかと思います。

 今年は、自分の体験に基づいて描かれた作品が多く見られたようです。自分が心動かされたものを何らかの形で表現する。そして、それを見た人を感動させる。これが芸術の役割です。皆さんには、ぜひこれからもそのような姿勢で取り組み続けてほしいと思います。
 この後、作文コンクールの表彰があります。私は昨年も聞いていましたが、非常に感動しました。非常に純な心で作られたものに触れているという感覚があり、これがアートに触れている感覚なのだと思います。作文(文学)であれ、美術、音楽であれ、そのような感覚は共通です。

 そして美術作品を作るときに一番重要なのは、自分の思うままに描くということです。私も経験がありますが、手を動かすことによって、「こうしたらいいんじゃないか」という考えがどんどん浮かんできます。脳ではなくて「手で考える」とでも言えることが美術の醍醐味だと思いますので、ぜひこれを続けていってほしいと思います。
 また、先生方には、子どもたちが「思うままに描く」という感覚を非常に大切にしてほしい、と思います。こういうふうに描くと上手に描ける、ということを必要以上に教えすぎると、子どもたちが本来持っている良さが失われてしまうので、温かく見守っていただければと思っています。
 本日はおめでとうございました。

表彰式の様子 表彰式の様子

第14回環境教育ポスターコンクール 受賞作品と審査委員講評

◆作品全体に対する審査委員の講評

  • コロナ禍が明けるきざしを感じるような、明るい色使いの作品、前向きなテーマの作品が多く寄せられた。
  • 全世界的な視点に立った作品もあれば、身近な問題に注目した作品もあった。身近な問題に着目することも非常に大切だ。高学年になるにつれて、町や地域の問題、日本全体の問題、世界的な問題へと、視点が広がっていく様子が見られた。
  • 丁寧な描写、迫力のある描写などが伝えたい内容に合わせて適切に用いられていた。
  • 毎年、子どもたちが気にしている内容が多く取り上げられる傾向がある。今年は小学生を中心に、「食品ロス」をテーマに選んだ作品が多くみられた。
  • 作者本人が感じたことを、感じたままに表現することが望ましい。指導者の方には、無理に「表現の型」を押し付けることなく、子どもが表現したいことをフォローするような指導をお願いしたい。

■内閣総理大臣賞

※作品画像はクリックすると拡大します。

八千代市立村上東中学校 1年藤﨑 紗良

本人コメント
この作品は、世界にいる全ての動物と、人間が共に住める世界にしようという作品です。
最近は、絶滅危惧種が増えるなど、動物が住む所がなくなったり、住みづらくなっています。なので、動物が住みやすく、お互いが譲り合えるようにしてほしいということを考えながら描きました。
審査委員講評
大きな木に集まるように、不安定なブランコに乗っていろんな生き物たちがいる。この緑いっぱいの木こそが地球なのだ。ここには人間は描かれてなくて、「この地球の仲間と生きる」という言葉に、地球環境を唯一コントロール出来る人間には考えなければならないことがあるという強いメッセージが込められている。環境問題の要素を描かずに訴えかける力作である。

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■文部科学大臣賞

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新座市立東北小学校 3年笠倉 琉李

本人コメント
私はぬいぐるみが大好きです。綺麗や可愛いものが大好きで好きなものに囲まれてニコニコ暮らしたいと思っています。色んなものが買えるけど私達子どもがおもちゃを大切にしたら地球を大切に出来る大人になってみんな笑顔で過ごせると思いました。だからみんなと約束したいなって思いました。
審査委員講評
子どもの時に思っていたことを、そのまま大人になっても持ち続けていられたらいいのに・・・。そんなことにはっとさせられる作品です。継ぎの当てられた熊のぬいぐるみと一緒に地球を抱える笑顔の少女の姿と言葉が、多くの人に子どもの頃の想いを思い出させてくれます。前面に描かれた自然を表すお花畑が効果的です。

越谷市立西中学校 1年本橋 桜香

本人コメント
環境について改めて考えました。きっとこのポスターを見た時最初に金魚に目が行くように、みんな目先の綺麗なことに目がいって環境が壊れかかっている地球に目がいっていない事、この金魚みたいに廃棄物や金魚鉢のガラスが割れている事に気がつかないのではないか、そんな視点や環境に対する思いを伝えたくて頑張って描きました。楽しかったです。
審査委員講評
作者の意図と感性の鋭さを感じた作品です。綺麗なものを見るとそちらにばかり目が行ってしまい、周りは背景になってしまって意識しなくなることへの警告です。一部だけでなく常に全体を見なければならないこと、環境を考えるのであればより広い周りを見なければならないことが的確に表現されています。

和歌山市立和歌山高等学校 1年北出 和奏

本人コメント
私が住む地域から見える山々は、所々ソーラーパネルで覆われています。小さい頃からこの光景がよくないものだと思っていました。環境を守るための手段で環境が破壊されている現状をみんなに知ってほしいという思いでこのポスターを描きました。
審査委員講評
環境を守るための手段で環境が破壊されている現状を描いた絵で、特に現代において考えさせられる作品です。作者は自身が小さい時から見てきたこの風景にずっと疑問を感じていてこの絵を描かれたようですが、それ故にその主張は強く、実体験から生まれたメッセージの力の大きさを改めて実感させてくれます。

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■環境大臣賞

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港区立白金の丘小学校 5年濃川 紗良

本人コメント
海の生き物たちが、いつもマイクロプラスチックゴミで病気にかかる危険ととなりあわせであることを多くの人々に伝えたいと思いました。マイクロプラスチックゴミの魚からにげる色々な生き物が集まった、一匹の魚で表現しました。
審査委員講評
遠くから見ると魚が大きなサメに食べられそうになっているように見えますが、近くで見ると「魚」は実は多くの海の生き物たちで出来ていて、サメはプラスチックごみであることが分かります。この絵では「食べる、食べられる」関係を反転させることによって、その現実をうまく表現しています。その構想と構図の巧みさが秀逸です。

港区立青山中学校 3年三神 レイ

本人コメント
近年クマに限らず、様々な動物が生活場所を失っています。この作品は森が無くなり、食べ物に困っているクマが食べ物を求めて「こども食堂」に入るという作品です。禿山の部分が道の様になっており、禿山を歩いてクマがやってきたという意味で「こども食道」と文字を変えてみました。
審査委員講評
思わず笑ってしまうコピーが最高ですが、それでいてそれが現実であることに頷いてしまいます。笑わせていながら環境保護を訴える手法が新鮮で、絵の表現は市松模様と三角などの幾何学をベースにしながらも、自然に馴染ませていく手法も巧みです。意図的な「こども食道」の表記も、それがまた絵を考えさせる要素にもなっています。

大阪府立工芸高等学校 2年長濵 羽来

本人コメント
私の家の近所にあった田んぼは、ほとんど住宅や建物になりました。今はまだ聞こえてくるかえるのうたも、この田んぼの減少により聞こえてこなくなるのではないか、かえるのうたを知らない子がでてきてしまうのではないかと思い、このポスターを制作しました。地元の田、自然が消滅しないことを願います。
審査委員講評
住宅やビルのある川沿い、作者の身近な風景のようです。そこに「かえるのうたが・・・」と書かれることによって以前はこうではなかったことを連想させます。実は風景の陰影などは細かい点描で描かれていて繊細な工夫の跡も感じられます。ここに描かれているお母さんと子どもは実は同一人物の今と昔の姿なのかもしれません。

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■金賞

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富山市立東部小学校 6年野田 愛莉

本人コメント
ホッキョクグマが小さな氷の上に取り残されているニュースを見ました。人間による地球温暖化によって様々な動物たちに影響が出ていることを動物の目線で描いてみました。
審査委員講評
画面いっぱいに描かれた大きなシロクマ。中心にある目やその表情からは、寂しく辛そうな感じが伝わってくる印象的な作品です。シロクマの白色の中にも様々な色が塗られていて工夫されています。「おねがい自然を守って」という文字からも、環境の汚染からシロクマを守ってほしい思いが伝わってきます。

裾野市立深良中学校 2年長田 融

本人コメント
地球は1つなのに、動物たちのすみかをうばっていることに気がついてないように思う。そんな人間に対して動物たちから嘆願書が届いてもおかしくない。そんな思いで描きました。
審査委員講評
紅葉した葉っぱに、「人間のみなさま、住む場所がもうありません。これ以上減らさないで壊さないで」という文字、その下に様々な動物たちの足形が描かれています。背景の土地はひび割れていて環境が壊されている様子が表現されており、葉っぱの色からは枯れ葉を表すとともに動物たちの熱い想いも伝わってくるようです。

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■銀賞

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横浜市立青木小学校 2年原田 瑚子

本人コメント
プラスチックのゴミは土にかえらないし、海も汚していると聞いて、プラスチックゴミを減らしたいと思いこの絵をかきました。エコバッグ、マイボトルを使って、ひとりひとりが気をつけていきたいと思います。
審査委員講評
プラスチックゴミが土に還らず、海も汚していることを勉強して、エコバッグやマイボトルの持ち歩きを提案したのでしょう。今、自分にできることを表現した小学校2年生らしいポスターでした。動物たちにもこれらを持たせているところが微笑ましいです。
明るい未来に向けた希望を、子どもや動物たちの表情や、全体の配色で表現しており、審査員から高い評価が寄せられました。

大阪市立山之内小学校 1年奥田 湊斗

本人コメント
まだつかえるのにすてちゃったらもったいないで、とつたえたくてかきました。
審査委員講評
不要と思われるものの中にまだ使える物がたくさんあり、それは過剰な消費(貴重な資源の浪費)や環境の悪化をもたらすものとして、私たち大人は反省をしなければなりません。この点を表現したポスターで、小学校1年生らしい筆致で作品を仕上げています。
文字の修正箇所がそのままになっていて、大人の手が入っていないことに好感を持ちました。自分で一生懸命書いたのでしょうね。
作品に描かれている粗大ゴミは、それぞれ何を表しているだろうかと、審査員の間で話に花が咲きました。

藤沢市立第一中学校 3年秋元 愛月

本人コメント
近年、海洋プラゴミについての問題を目にすることが増え、現状を1人でも多くの方々に知ってもらいたいために、まずは「海洋プラゴミが海の中にどれだけあるのか」について知ってもらうことが最適だと考えこのポスターを描きました。
審査委員講評
丁寧に作品を仕上げています。海の中から海上を見上げる構成、空には太陽の光が透けて見えます。動物が漁業用の網にかかっている作品はよく見られるのですが、その網の中にたくさんのゴミが詰まっており、それを引いて亀が泳ぐ作品はあまり見たことがありません。一見すると透き通ったきれいな海の中、海洋ゴミの深刻さがうまく表現されています。
1億5,000万トンの海洋ゴミの量の深刻さに驚くと共に、その7割から8割が街から流れ出たものであるという事実を考えると、私たちが日々の生活に気をつけなければいけないことを思い知らされる作品です。

豊田市立猿投台中学校 3年山田 菜月

本人コメント
私は資源を循環させることの大切さを伝えたいと思い、リサイクルマークを基にこのポスターを描きました。絵にあるように、ごみをなくすことは不可能ですが、リサイクルによってそのゴミを減らしていければと思います。
審査委員講評
ポスターの構図に、審査員の間で高い評価が与えられました。もちろん、一番目立つ中心のところにリサイクルマークを配置して、しかもそのマークがゴミと植物で構成され、ゴミの削減ときれいな地球の対比を表現しています。リサイクルの徹底によって美しい地球を手にしようと訴えているように見ました。 他にも、目立つマークの背後にも、なにやらリサイクルマークに似たものが薄く描かれており、その中心には文字や数字が書かれています。ここには何が描かれているのか、思わず興味を持って、じっと見つめてしまいました。目を引くだけでなく、様々なメッセージを読み取る楽しさを感じる秀逸な作品です。

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■銅賞

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千葉市立西小中台小学校 6年辻村 由佳

本人コメント
少しでも温暖化の深刻さを知ってもらいたい。そして自分のできることを考えて行動してみてほしいなと思いました。また、自分ももっと温暖化について学び対策を考えたいと思いました。
審査委員講評
今年の夏は本当に暑かった。そして地球温暖化により毎年少しずつ平均気温が上がり、熱中症にかかる人たちも増えてきています。この作品はそんな想いを赤くなって目が回るほどに汗だくとなる「地球」をモチーフに大きな視点から描かれたとても説得力のある構成となっています。

神戸市立池田小学校 1年中原 希

本人コメント
ごみのりさいくるについてしらべました。ごみからいろいろなものができることをしりました。ひともどうぶつもやまもみんながえがおのちきゅうになったらいいなとおもいました。
審査委員講評
人も動物も自然もそして太陽や雲も全てが笑顔に描かれていて、心がとても温まる作品です。「こんなちきゅうになったらいいな」という文字が虹色に重なりあって、未来へむけての希望に溢れたメッセージとなっています。作者の優しさとこれからの時代へむけて大切にしなければならない想いが伝わってきます。

守谷市立御所ヶ丘中学校 2年三浦 晴

本人コメント
私はテラリウムが好きです。そのテラリウムは緑たくさんの小さな世界に見えました。でも、現実世界に目を向けると、木は枯れ果て、有毒な気体によって酸性雨の被害や汚れた水など地球全体も悲しい大きなテラリウムではないでしょうか? 自分の手の中の小さな世界だけでいいのかと思いこの作品を描きました。
審査委員講評
テラリウムという身近な題材をテーマに、人が創る自然環境を「自分の手の中の小さな世界」としたインパクトある作品です。近視眼的にものごとを捉えるのではなく外に目をむけたとき、地球をとりまく大きな世界もまたひとつのテラリウムであり、環境破壊という現実に気づいて欲しい―― 絵に説得力が感じられ、画力も優れたメッセージ性の高いポスターです。

大阪市立友渕中学校 3年新居 杏梛

本人コメント
17年もの人生をかけて、日本地図を作った伊能忠敬と言う歴史上の人物もいますが、世界中では温暖化による水面上昇で地形が変わったり、国がなくなったりする未来があるみたいです。日本の形が好きなので、いつまでも自然を守って温暖化を止める努力を続けたいです。
審査委員講評
「あっ、この人は?」と誰もがどこかで見たことがある人物像。そして描かれた日本地図で伊能忠敬という歴史上の人物であると気づき、その本人が水に沈んでいく様で温暖化により南極の氷が溶けて、彼が生涯をかけて測定した日本の沿岸線が変わりつつある。そして「自然を守れ、愛せ、続けることの大切さ」が伊能忠敬の言葉として伝わるというストーリー性とウィットに富んだ作品となっています。

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■安藤忠雄賞

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横浜市立荏田西小学校 4年表寺 心聖

本人コメント
海に多くのゴミが浮遊しているということをテレビを通じて知りました。海の生物たちが食べてしまうこともあれば、体にまきついたまま成長してしまうこともあると知り、海の生物たちがのびのびと成長して泳げる海になればいいなと思いました。
審査委員講評
廃棄漁網とレジ袋がからまった痛々しいアザラシの姿は、海洋プラスチックごみ問題を象徴するイメージとしてよく紹介されますが、この作品では、「新しい服?」という無邪気な問いかけと、アザラシのあどけない表情が、問題の深刻さをよりストレートに訴えています。作品から、作者の生き物に対する深い愛情を感じ、賞に選びました。

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■三浦雄一郎賞

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千葉市立扇田小学校 1年佐藤 美織

本人コメント
ぜつめつきぐしゅのシマフクロウをかきました。シマフクロウをまもるためにはゆたかなもりとさかながたくさんおよぐかわがひつようです。どうぶつもとりもさかなもこんちゅうもしょくぶつも、みんながだいすきなもりをだいじにしたいです。
審査委員講評
私(三浦審査委員)が今住んでいる北海道の先住民、アイヌの人々の世界ではシマフクロウは特別な存在で、アイヌ語で「コタンコロカムイ=村を守る神」と呼ばれていて、人の生活や森の環境を守る番人です。画用紙いっぱいに大きく力強く描かれたシマフクロウ、今にも目の前を羽ばたいて森に住む生き物たちを守る偵察にでかけていくような活き活きとした存在感に溢れています。その姿から自然の環境を守って大事にするというとても大切なメッセージが伝わります。

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■学研賞

作品を多数応募し、学校全体で環境活動に取り組まれている学校にお贈りしています。

埼玉県 さいたま市立泰平中学校

広島県 広島市立翠町中学校

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■入賞:小学生の部

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横浜市立東品濃小学校 6年和田 二海

本人コメント
地球温暖化や絶滅危惧種、海のゴミの問題など、地球がきずついているということ、その対策をしているということをばんそうこうで表しました。ですが、その対策もまだまだ不十分ということもばんそうこうで表せたらなと思います。ばんそうこうはいつかはがれてしまうので、もっとちゃんとした処置をしていきたいです。
審査委員講評
画面いっぱいに描かれた地球に、ウミガメやシロクマ、コアラなどが環境汚染によって困っている様子が描かれています。よく見ると、それぞれの地域にばんそうこうが貼られています。「足りないよ。応急処置じゃ」の言葉から、応急措置ではなく、それぞれの問題をしっかりと考えて、対応していってほしいという強い思いが伝わってくる作品に仕上がっています。

町田市立町田第一小学校 5年澤田 桃希

本人コメント
自分たちが捨てたゴミは、まわりまわって自分たちに返ってくる。そしてどんどんゴミにうもれてしまう。本当にキレイなすがたって何だろうと考えました。
審査委員講評
よく見ると、人が横を向いた像であることに気付かされます。次に顔から頭の部分にかけて、様々なゴミが組み合わさってつくられていることに気付いていきます。「本当に、キレイ?」の文字からも、ゴミを出すことで本当の美しさを保っているのか疑問を投げかけているようです。ものを大切にしたりゴミを減らしたりしていってほしいという思いが伝わってくる作品です。

加西市立九会小学校 6年高瀬 智也

本人コメント
海がますますきたなくなるのでもっときれいになってほしいという思いでかきました。
審査委員講評
遠くに海があり、目の前の砂浜には空き缶やゴミがたくさん捨てられています。「海はもうカンカンです」の文字からも、海も怒っているだけでなく空き缶などのゴミでいっぱいになっていることへの警告も表しているようです。海を1人1人で大切にしてきれいにしていこうという思いがユーモアも交えて表現されている作品です。

河内長野市立長野小学校 5年森 七海

本人コメント
自然を守ろう、緑をふやそうという願いをこめてかきました。こん虫たちの住み家がへると、密になって、おいしい蜜がのめず、こまっている様子をかきました。
審査委員講評
新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐための「NO密」と、虫たちが一本の木に蜜を探して集まっている「YES蜜」が表現されています。画面いっぱいに描かれた大きな木の下側を見ると、周りには伐採された木があるのが分かります。虫たちの住む環境を大切にしていってほしいという思いが伝わってくる作品です。

橿原市立真菅小学校 6年中山 千桜

本人コメント
「地球をCOOLに」という言葉には、温暖化防止の「地球を冷やそう」という意味と「地球をきれいにしてかっこよくしよう」という二つの意味をこめました。今、地球の周りの宇宙ゴミも問題になっていると知ったので、地球だけではなく周りの宇宙空間もきれいにして守っていこうという思いでかきました。
審査委員講評
「COOL」の「冷たい」と「かっこいい」という2つの意味を込めた作品です。地球の周りには、宇宙服を着た人たちが掃除機でゴミを掃除したり、地球を内輪で仰いだりしているなどの姿が描かれています。地球温暖化防止だけでなく、ゴミ問題を地球から宇宙にまで広げて考えている作品になっています。

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■入賞:中学生の部

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広尾学園中学校 3年佐渡 夏音

本人コメント
まずこのポスターを描こうと思ったときに、自分たちの身近なものを使って表現しようと思い、それで目にとまったのが修正テープでした。しかし、最初は修正テープで環境ゴミを消す作品にしようと思ったのですが、修正テープではゴミは消せません。なので逆に環境ゴミは簡単には消せない、ポイ捨てという行動は消せないことを表現しようと思い、今回の作品に至りました。
審査委員講評
何といってもこの作品の魅力は、その構図の面白さにあります。修正テープの役割は一度書いてしまった文字を「なかったこと」にすることなのですが、ポイ捨てを「なかったこと」にはできないよ、つまり捨てたゴミはずっと残り続けるし、環境の悪化をもたらすよと訴えているのでしょう。修正テープ自体、本コンクールの作品で目にしたことはあまりありませんし、大胆に斜め方向にテープを配置している構図は秀逸です。絵としてのバランスもいいと思います。
この作品が、個人の日々の行動を見直すきっかけになることを願っています。

水戸市立第二中学校 2年山本 真央

本人コメント
今の地球の現状は、温暖化ガスのモコモコの服をまとっていると考えた。ポップな色合いで目につきやすいようにした。一刻も早く脱炭素化をし、温暖化をストップさせたい。
審査委員講評
もくもくと煙を吐き出す車(エンジン車)と工場、そしてプラスチックの燃焼と火力発電によって、地球が二酸化炭素に「暑苦しく」取り囲まれています。またそれを見ている宇宙人もびっくり、幻滅しています。このような危機的状況にある地球の姿を、暗さを基調とせず、コミカルにポップな色彩で描きだしており、それがかえって地球の置かれている状況の深刻さを強調しているから不思議です。
二酸化炭素の削減は、今取り組まないと取り返しのつかないことになります。それをテーマとした本作品は、時宜を得たものであると共に、皆の目を引くものに仕上がっています。

うるま市立石川中学校 3年東風平 クレア

本人コメント
美しい地球(トリ)がゴミでよごされるからやめようねっていう思い。
審査委員講評
濃いピンクの大胆な配色、これがまず圧倒的な迫力で迫ってきます。鳥の描写も大胆で、嘴のデザインと共に前衛的な臭いを感じさせます。食べている餌をゴミとは知らない鳥の様子(視線)が印象的です。
一方、食べられるゴミもよく見ると、プラスチックを中心としたゴミからできているように思われます。精密にプラスチックゴミが書かれているわけではないのですが、透明感と言い全体的にうまくプラゴミらしさが描かれています。
文字は、強調したいところに縁取りがなされていて、一目見て主張が理解できるように考えられており、全体として多くの工夫が施された作品に仕上げられています。

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■入賞:高校生の部

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武蔵野学芸専門学校(高校課程) 1年柳 悠理

本人コメント
不法投棄、森林伐採による環境破壊。彼らの尊い命は、私たち人間の身勝手な行為によって奪われて行きます。自然の中で生きる動物が、ごみへと姿を変えていく。その一瞬を表現しました。
審査委員講評
森の中で、こちらを見つめる鹿が描かれている。向かって右側は色彩があふれ赤い花が咲く豊かな美しい自然が表現されている。しかし、左側は無彩色の世界を描き対比させている。人間の身勝手な都合で、地球の生きとし生けるものの運命を決め、「自然が消える」ことに警鐘を鳴らしている。

法政大学国際高等学校 3年神永 真悠子

本人コメント
私たちが使った油や、生活雑排水が、海や川に流されることにより、それらがいかに深刻なダメージを環境に与えているのかを、私たちはどれくらい理解しているでしょうか? このことを少しでも多くの人に問いかけたく思い、このポスターを描きました。
審査委員講評
人が暮らしの中で、生活や経済活動での排水を流すことで、環境に深刻なダメージを与えているのではないかと問題を提起している。家庭や工場などの排水が、とめどなく河川から海洋へ向かって流れ、そして地球全体に関わる循環を表している。また、豊かな色彩表現が魅力的で強いメッセージ性を放っている。

神奈川県立白山高等学校 2年志甫 有里菜

本人コメント
私は環境問題を考えたとき、人間社会の“違和感”に注目しました。あたかも地球に人間だけが住んでいるかのような、人間が全てのような場面が多い中、“違和感”を持つ人が増えてほしいと思い、描きました。その気づきが環境問題改善につながると思っています。
審査委員講評
地球上の人類だけが謳歌しているような人間のエゴに着目して、私たちに問いかけている。地球をとりまく環境問題に哺乳類、鳥類、両生類、魚類など様々な生き物も「声を聞いて」と訴えている。大きく張ったカエルの腹や薄く透き通った魚の背びれの描写などから、構成力と色彩のハーモニー、的確な筆力がうかがえる。

埼玉県立大宮光陵高等学校 1年山中 萌衣

本人コメント
森林伐採などで動物達の住み家がなくなっていることを伝えたいと思い、このポスターを描きました。住み家がなくなり、引っ越し続きの動物達が平穏な生活ができるようになるには、少しでも緑を増す、今残せるものを大事に残していくことではないかと思います。少しでも緑の大切さを伝えられたら良いなと思いながら制作しました。
審査委員講評
夕刻の野原の真ん中で、荷物を背負ったキツネとタヌキが住家を求め引っ越し先を探している。美しい夕空の下、一日中歩き回り少し疲れた様子がうかがえる。標語の「私たちの引っこしはいつ終わりますか?」からも分かるように、野生動物との平穏な共生がやさしく端的にユーモアを交えたメッセージとして伝わっている。

兵庫県立兵庫工業高等学校 2年木村 穂乃香

本人コメント
「ゴミを捨てない」などの表現をしても、頭では分かっているが実際はポイ捨てをしてしまっている人がいる。そのため、誰もが好きなお寿司を描くことで分かりやすく伝えることが出来ると思いました。
審査委員講評
日常の暮らしの中で頭の中では分かっているが、ついポイ捨てをしてしまうことがある。小さなポイ捨ての積み重ねが大きく環境汚染を招いている。視点を環境汚染と身近な食との関係にしぼり、ポイ捨てゴミと誰もが好きなにぎり寿司を対比させ描いている。すしネタの真に迫った描写に目を奪われた。

香川県立高松工芸高等学校 2年宮脇 有梨

本人コメント
緑で生い茂った森林を維持していくため、自然と人とのバランスを保つことを目的に描いた。人が木を伐採しすぎず、ほどよく木の手入れを行うことで森林を未来まで守ることができると思うので「自然との共生」の意図としてツリーハウスを描いている。
審査委員講評
森林の保護をテーマに、自然と人との共生の大切さを伝えている。人が森林への適切な関わりを持ち、未来への希望と共生を象徴するかのようにツリーハウスが描かれている。深い森林に陽光が斜めに射しこみ、美しく苔生す緑の中でこちらをじっと見つめる一頭の鹿の存在が印象的である。

広島県立神辺旭高等学校 1年平川 諒汰郎

本人コメント
私が生きてきた短い人生の中で何回も、数十年に一度の災害を体験し、異常気象も何度も耳にしました。これも人間が温め続けた結果だと思い、私たちが大人になるまでには止めておきたいという思いを込めて描きました。
審査委員講評
地球規模の災害や異常気象を切り口としてテーマ設定をしている。人類がエネルギーを得るため燃焼させ大量のCO2やフロンガス、メタンを排出することで温暖化が急速に進んでいくことに目を向けている。ドキッとする鮮烈な色彩と近未来的な視覚的表現で、時間が切迫している状況を表現している。

名古屋市立工芸高等学校 3年平田 凜

本人コメント
地球温暖化の問題を身近なものと結びつけて欲しいために、地球と身近にあるセロハンテープの台を掛け合わせて描きました。加えて、人間の手によって、オゾン層が段々と破壊されて行く様子を表現しました。
審査委員講評
身近にあるセロハンテープ台を題材化している。クルクル回る地球を模したセロハンテープ層をオゾン層に見立て、私たちがセロハンテープを引っ張るごとに、オゾン層がだんだん無くなっていくというアイデアが素晴らしい。加えて、テープを引っ張る指先やテープ台に描かれた無彩色の都市のデッサンが良い。

大阪府立工芸高等学校 3年松永 風花

本人コメント
私がこのポスターを制作するにあたって心がけたことは、キャッチ―さと子供の目にとまりやすく、ということです。ふつうの環境ポスターとは違い、ユーモラスなものにすることで人々の記憶に残るようなものになればいいなと思い制作しました。
審査委員講評
オセロゲームをモチーフにしている。ゲーム板の角にある一枚の白色チップが北極圏の氷を表している。回りの黒色チップに占拠され氷が減少して無くなってしまいそうである。急速する地球温暖化への緊迫感をあえてユーモラスな表現方法を用いて簡潔で明快な構成と発想が目を引き付けさせる。

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■海外賞

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【金賞】
上海外国語大学附属外国語学校国際部(中国) 
高校3年飯塚 有希

本人コメント
地球温暖化による海氷の融解によって生物の生息地がどんどん小さくなっています。また海水の水位の上昇により私たち人間の生息域も限定されてきています。私たちは自分たちで自分たちの首を絞めているのです。そんな悪循環を一目で分かるように描きました。一刻も早く地球温暖化の改善を願っています。
審査委員講評
中央に描かれた大きな砂時計。その中には砂ではなく溶けだす海氷の水が下にある人々の生活域へ落ちて少しずつ地表を沈めていく。上には氷が溶けて住む場所を失いつつある北極や南極の生き物。温暖化は人も動物も同様に苦しめていくということをとても上手に表現しています。タイムリミットという切迫した標語と絵の構成が素晴らしい作品です。

【銀賞】
シュツットガルト日本語補習授業校(ドイツ) 
小学2年山浦 智寛

本人コメント
電車はじゅうたいになることがないし(おくれることはあるけど)、空気をよごさないよ。ドイツではとくべつに今年の6月から8月まで一カ月9ユーロの電車チケットがありました。そのチケットがドイツ中でつかえたので、ぼくだけではなく、たくさんの人が電車をつかっていたけど、いままでよりどのぐらい空気がよごれなかったのか、知りたいな。
審査委員講評
地球環境を守る、CO2を削減する。そのために具体的に出来る行動を題材にした作品です。絵のなかでは電車に乗ることにより人も自然も笑顔が増えて、逆に車の排気ガスで泣いている動物たちを描いていて、とても説得力のある仕上がりとなっています。SDGsをとても上手くポスターに表現しました。

【銅賞】
上海日本人学校 虹橋校(中国) 
小学2年濱田 千秋

本人コメント
みんなに、つかわないへやの電気をけしてほしいと思って、ポスターをかきました。太ようや水や風の力でも電気は作れるけど、りょうがすくないということを知りました。ちきゅうにふたんをかけないようにがんばりたいです。
審査委員講評
「電気をけそう」という標語が素直にまっすぐ伝わる作品です。使ってない部屋がドアを通じて電気が消されている、「パチ」という音がこちらまで聴こえてきそうで、そして女の子の笑顔がとてもいいです。人がエネルギーを大切に使うことを教えてくれます。

【特別賞】
みどりの丘日本語補習校
(ブダペスト補習授業校)(ハンガリー) 
中学3年丹野 なおみ

本人コメント
自然には元々の色があり、その色はその色になっている理由があります。それらを人間の色が汚しているのを見て、こういう気持ちに何度もなったのでそれを表現しました。
審査委員講評
海のなかを泳ぐウミガメの下にはとても綺麗な色とりどりの珊瑚や海藻が描かれていてその自然の美しさに目がいきます。そして上段部分には海に投げ込まれた様々なゴミ、おなじく色とりどりではありますが、そのあいだに書かれた標語「カラフルではあるけれど」という標語で、自然の美しさを人の手が汚しているという対比が上手く表現された、優れた作品です。

【特別賞】
カンタベリー補習授業校(ニュージーランド) 
小学4年清水 理咲

本人コメント
私の大好きな動物達がプラスチックなどのゴミにかこまれ、海も山積みのプラスチックによってだんだんとよごれ、色々な動物達も悲しくなって泣いてしまっているという絵です。私達が日ごろ使っている様々なプラスチックをやめ、リサイクル出来る紙などに代える事で、しぜん界が少しでも良くなる事をねがっています。
審査委員講評
ゴミの山に圧迫されて狭いところに押し込められた動物たち。その涙が「やめて」という切実な訴えを見るものに届けます。プラスチックはそのままではゴミとして息ができないくらい生き物を苦しめ続け、環境をどんどんと汚染してします。人がどう変わるべきかを考えさせられる作品です。とても良く描けています。

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