第7回環境教育ポスターコンクール
2015年11月23日(東京ウィメンズプラザ)、2016年2月6日(神戸海洋博物館)に表彰式を開催しました。
オープニングは、こども教育支援財団「東京大志学園」の中学生とクラーク記念国際高等学校の生徒による「ハチドリのひとしずく」の朗読を行いました。
表彰状授与式では、受賞者のお名前と作品がスクリーンに映し出され、一人ずつ登壇します。賞状と副賞を受け取る際には、プレゼンターの審査委員から受賞作品の講評があり、会場全員で改めて作品を鑑賞しました。また、受賞者を代表してのスピーチは、どのお子さんも緊張しながらも堂々と作品に込めた想いを話してくださいました。
式典終了後は、ご家族や学校の先生も一緒に、全員で記念撮影。笑顔の絶えない和やかな表彰式でした。
2015年・第7回環境教育ポスターコンクール受賞作品と講評
■文部科学大臣賞
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小学生の部
神戸市立西山小学校
6年
大久保 七海 -
中学生の部
結城市立結城中学校
2年
栗田 夏実 -
高校生の部
神戸市立
須磨翔風高等学校
1年
森山 かれん
【審査委員講評】
・大久保さんの作品:力強い絵と文字が、とても印象に残る作品です。工場のけむりとごみの山で汚れてしまった地球から、自然のあふれる水と緑の地球へ手がのびています。二つの世界の違いが上の地球と下の地球の色使いからもはっきりと分かり、のびた手の描き方は、人間のわがままな心をよく表現しています。標語も目立つような場所と色がうまく選ばれていて、見る人の心にひびきます。
・栗田さんの作品:心がいやされる美しい田園風景が、色鮮やかに表現されています。筆のタッチや配色、そして文字の配列が優しく調和がとれていて、全体から個性が感じられる作品になっています。遠景に描かれた蛇口と近景に描かれた若者や生き物との対比によって、標語の意味についての想像が広がります。
・森山さんの作品:意外性のある標語と確かな描写力に裏づけされた大胆な構図が印象的です。黒を背景とした画面の中に可憐な野花が浮かび上がるように表現され、掴み取る手の中に殺伐とした都市の姿が対比的に画面の奥行きを感じさせます。散りばめられた白い水滴によってダイナミックな動きも感じられる作品です。
■環境大臣賞
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小学生の部
新座市立東北小学校
2年
笠倉 時斗 -
中学生の部
高松市立下笠居中学校
3年
南原 杏美 -
高校生の部
学芸館高等学校
小山学習センター 2年
増田 晴香
【審査委員講評】
・笠倉さんの作品:作者自身らしい小学生のこどもが支えている大きな傘の下で、地球を母とする生きとし生けるものが集い、話し合っている姿が細密な表現で描かれています。空に浮かぶ雲からは雨つぶが降り注ぎ、潤いに満ちた空気の中で、樹木や草花、虫や魚、動物たちが一堂に会した喜びが画面から生き生きと伝わってきます。「なかよく未来をつくる会ぎ」でみんなで考え、話し合い、そして行動しようとする、作者の強くしなやかな視点を感じます。
・南原さんの作品:林立するモノトーンのビル群は、作者のもつ高い表現力に支えられ都市のもつ空気や奥行き、高さが感じられ、あたかもその場に臨んでいるように錯覚してしまいます。建物の下から流れきらめく水の表し方もリズミカルな調子が効果的です。画面全体は物静かですが、耳をすませば水が湧き流れる音が聴こえてきそうです。「見方を変えると視えてくること」としたメッセージも絵のもつ雰囲気と同調して心地よく静かに響いてきます。
・増田さんの作品:画面を斜めに横切る線を引くことで構図に緊張感が生み出されました。その斜めの線が現代社会の岐路と選択、未来への試練を暗示させる作者の意図が含まれ成功しています。色彩構成でも面積と配置を工夫しながら対比を試みたことがいっそう効果を発揮しました。赤の背景に工場と煙、造成地とショベルカーなどの対象物を暗い単色で影絵的に表し、青の背景に動物たちや草花を白色を基調とする色の階調で表現するなど、とりわけ作者の高い描写力で支えられた画面が魅力的です。
■金賞
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小学生の部
神戸市立丸山小学校
5年
村上 風登 -
中学生の部
調布市立神代中学校
2年
亀岡 太郎 -
高校生の部
神奈川県立生田高等学校
3年
村上 真奈
【審査委員講評】
・村上さんの作品:草花、海・空・陸に住む様々な生き物たちが男の子を囲んでいて、小さな虫から大きな動物まで全てが心を籠めて描かれている雰囲気が伝わってきます。共生することの楽しさと大切さが標語とともに色鮮やかに表現されている作品です。
・亀岡さんの作品:メッセージを端的に表現し、落ち着いた画面の中に細部へのこだわりがこめられた秀作です。
・村上さんの作品:標語に合わせて、絵も自然をよく観察し表現しています。美しく優しさを感じるポスターとして完成度の高い作品です。
■銀賞
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小学生の部
横浜市立鳥が丘小学校3年
橋本 拓樹 -
小学生の部
今治市立近見小学校
6年
野間 菜月 -
中学生の部
常総市立水海道中学校
2年
太田垣 七海
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中学生の部
大阪市立文の里中学校
2年
木村 珠稚 -
高校生の部
水戸啓明高等学校
3年
青山 夢 -
高校生の部
香川県立高松工芸高等学校 1年
喜多川 千優
【審査委員講評】
・橋本さんの作品:不法投棄への注意喚起をユーモラスに表現した作品である。大きなイカのイカった表情と小さな男の子が涙を流している表情との対比が何とも愛らしく、標語と見比べながら思わずクスっと笑わされる。
・野間さんの作品:いるかに乗った少女の楽しそうな笑顔。色づかいにも工夫がみられ、海と人とが調和して生きる幸せが表現されています。海を汚さず海の仲間たちを守ることが私たちの心を澄んだ色に守ることでもある・・・そんなメッセージが伝わってきます。
・太田垣さんの作品:自然保護を訴えた作品である。構図に躍動感があり、また標語、絵ともに丁寧に描かれている。よく見ると作品の中央部分に手のひらが半透明で描かれており、その手首近くには小さく日本地図が描かれているあたりは、かなり細かく計算された緻密な内容を伴った作品であることがわかる。
・木村さんの作品:温暖化の表現で北極の氷が溶け出している作品は多くありましたが、これはその中でもとてもパンチの効いた作風です。肩を落としたペンギンがちゃぶ台のお茶を前にしている姿と標語が私たちの生活にオーバーラップして北極の動物たちが置かれている環境を見事に表現しています。アイディア賞です。
・青山さんの作品:大気汚染、水質汚濁の防止を呼びかけた作品である。描かれているキャラクターがとても可愛らしく、色彩豊かで、一目見て絵の中に引き込まれてしまう。技術的にはプロの漫画家が描いたと思わせるほど上手い。
・喜多川さんの作品:優れたアイデア、巧みな構成、高度な技術による完成度の高い作品です。六分割されたどの部分からも、地球上に生きとし生けるものたちを遥かに思いやる心が感じられ、共生への祈りがうかがえます。
■銅賞
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小学生の部
富士見市立諏訪小学校
6年
舘野 孝太朗 -
小学生の部
加古郡播磨町立
蓮池小学校 3年
南 佑佳 -
中学生の部
八千代市立高津中学校
1年
松岡 杏遥
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中学生の部
岡山市立京山中学校 2年
野村 しらべ -
高校生の部
茨城県立取手松陽高等学校
2年
山下 優奈 -
高校生の部
関西文化芸術学院 1年
山﨑 愛
【審査委員講評】
・舘野さんの作品:節電を訴える作品である。赤(標語)、黒(背景)、黄色・白(電燈)の四色構成でシンプルに描かれている。特に、標語の赤と背景の黒の対比にインパクトがあり、観る者の目を留める力がある。
・南さんの作品:見る者をほっとさせる美しい色づかいです。リスも鳥もウサギも犬も、花や木の実までもひとつひとつに柔らかい命が通っているようです。ハートを包む手に温もりがこもっています。命を慈しむ気持ちが伝わってきます。
・松岡さんの作品:自然保護を訴えた作品である。一点透視図法を用いて絵に立体感と広がりを持たせている。標語、絵ともに上手でかつ丁寧に描かれている。手前に数匹のカエルが方向、種類を変えて描かれているが、カエルは自然環境(特に水との関係が深い)や幸運をもたらすものの象徴であることを承知したうえでこの作品を再度鑑賞すると、より味わい深いものになる。
・野村さんの作品:地球を飲みものの器と見立てる発想も、「えーもうないの」というコメントも独創的で、作者ならではの個性を感じさせます。しかめ面をして地球を吸い尽くす女の子の姿は見る者に、自分自身の行いを振り返り反省させる力を持っています。
・山下さんの作品:地球温暖化の防止を訴える作品である。この標語であれば、通常はヒートアップした地球が構図の中に描かれることが多いが、この作品は、逆転の発想を生かして、大きなコップの中に氷水をたっぷり入れ、その中に、家屋が沈められたものになっている。その発想が奇抜で、またコップの水滴が上手に描かれているので、観る者はつい引き寄せられる。
・山﨑さんの作品:繊細な枠組みが不安定に組み立てられていてちょっとした刺激で今にも崩壊しそうです。非凡な表現で今の地球環境の危うさを示しています。丁寧に描かれた生きものたちの美しさが、崩壊防止を訴える強い力になっています。
坂井 城真
審査員賞
日高 菜月
特別賞
増田 光志
諏訪小学校
須磨翔風高等学校
【審査委員講評】
・坂井さんの作品:明るいみらいの町が色あざやかにえがかれていて、楽しい生活が画面いっぱいに広がっています。太陽とにじが自然の広さをよく表しています。鳥や虫もいきいきとしていて、水やりをしている人の、しあわせなようすもよく伝わってきます。
・日高さんの作品:夏に食べるスイカのように、水をかけて地球を冷やす、シンプルでありながら力強いメッセージが印象に残った。温暖化によって真っ赤に熱された地球は、確かにすぐにでも水をかけて冷やしてあげたくなる。視覚的にもインパクトがあり、環境問題を真剣に考えなければいけないという強い思いが、伝わってくる。
・増田さんの作品:用紙いっぱいに描かれた猫と犬の顔。それぞれの表情が生き生きとしていて書かれたメッセージとともに目で私たちに命の大切さを語りかけてくれる、ユニークで心温まる2匹から人と動物たちの繋がりが感じられる、インパクトあるポスター。