第9回環境教育ポスターコンクール
ブロック | 首都圏 | 西日本 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
小学校 | 校数 | 96 | 117 | 213 |
点数 | 928 | 1439 | 2367 | |
中学校 | 校数 | 123 | 89 | 212 |
点数 | 1729 | 1570 | 3299 | |
高等学校 | 校数 | 28 | 27 | 55 |
点数 | 343 | 236 | 579 | |
合計 | 校数 | 247 | 233 | 480 |
点数 | 3000 | 3245 | 6245 |
2017年11月19日に東京ウィメンズプラザ(青山)にて表彰式を開催しました。
オープニングとして、IPU・環太平洋大学ダンス部の生徒による「ハチドリのひとしずく」を披露しました。
「ハチドリのひとしずく」は、南アメリカの先住民に伝わるお話を、辻信一さんが監修した短いお話です。ハチドリの悲しみや決意を瑞々しく表現した素晴らしいダンスでした。
式では受賞者が一人ずつ登壇し、受賞作品がスクリーンに映し出され、プレゼンターの審査委員から賞状と副賞を受け取る際に、受賞作品の講評をいただきながら、改めて作品を鑑賞しました。
また、受賞者を代表してのスピーチでは、どの子どもたちも緊張しながら堂々と作品に込めた想いを話してくださいました。
今回は海外からの応募作品が52点あり、応募国の一つであるブータン王国の高校生から届いたビデオメッセージを上映しました。国境を越え、自分の周りの豊かな環境を守りたいという子ども達の強い想いが伝わってきました。
横山勝樹審査委員長の総評では、「今回皆さんの作品に共通していたのは、力強いメッセージだけではなく、共感のできる作品が多かったように思います。皆さんの作品を見た人が同じように感じてくれる、そのことを強く意識して形と色、言葉が選ばれている、そうした作品が審査委員の先生方に強い印象を残し、見事選ばれたのだと思います。そのような努力を是非これからも続けて頂きたいと思います。そのことが、未来を創る、新しい力となっていくと思います。」というお話を頂きました。式典終了後は、受賞者のご家族や学校の先生も一緒に記念撮影を行いました。
第9回環境教育ポスターコンクール:審査員講評と講評
■文部科学大臣賞
【審査委員講評】
・柴山さんの作品:ごみでよごされた川がうつる目に、涙がうかんでいる、とても心にのこる絵です。涙の描きかた、悲しそうな、まゆげと鼻が、画面いっぱいに、力づよく描かれているのが、とても優れています。標語も、顔の表面にそって、うまくならべられています。色も、目と字がうかび上がるように、上手に使われています。
・本多さんの作品:紫色をした空と砂漠によって自然破壊が進行した世界を象徴的に表現しています。またスパッタリングによって砂漠の表面もリアルに表現されています。ビンの透明感と中に入った水の表現が巧みで、小さな魚の孤独感が伝わってきます。あえて小さく書かれた標語ですが、レイアウトが上手で人の注意を引くように意識されています。
・遠藤さんの作品:スマートフォンの電池のアイコンをモチーフとして、自然の残量が、白黒で描かれた失われてしまった部分と、色塗りされた残っている部分との割合を、象徴的に表現しています。アイデアが優れた作品ですが、何気ない動植物の配置などによって、斜めの境界線を意識させる、表現方法の巧みさも見られます。
■環境大臣賞
【審査委員講評】
・原薗さんの作品:大きく描かれた木のかたちと、葉っぱのきれいなかげが感じられるような緑の色が、とても印象に残る作品です。木の下で、いっしょうけんめいに、あたらしい木をうえようとしている子どもたちも、生き生きと描かれています。標語につかった赤い色も木の色とうまくあっています。
・本川さんの作品:厳めしい顔をした半魚人と、丁寧な口調の標語との落差に、ユーモアを感じる作品です。しかし一方で、碧海・碧空が美しく描かれているなかに、よく見るとゴミがたくさん浮いているという、海洋汚染の深刻さも感じさせます。絵と標語の組み合わせによって、美しさと厳しさを画面に同居させることに成功した優れたデザインであるといえます。
・齊藤さんの作品:3Rという新しい考え方が、じつは江戸時代の生活の知恵にもあったことを浮世絵の絵柄を通して印象的に伝えています。標語を配置する間をとりつつ、中心にリサイクルを象徴する鼻緒の切れた下駄の絵がくるよう、構図が緻密に計算されています。色使いも江戸の雰囲気を演出しながら大切なメッセージが目立つように配慮された秀作です。
■金賞
【審査委員講評】
・西村さんの作品:青い空と黄色いひまわりが透明感のある美しい色づかいで描かれています。元気なひまわりの花が、リズムよく並び、半分だけかかった虹と、よく調和しています。一年生らしい、素直で伸びやかな表現で「みらい」への希望を感じさせてくれる絵です。
・森垣さんの作品:夜空に浮かぶ無数の美しい星の輝き。都会でも電気を消せば、こんな「ステキな夜空」が眺められるはず。絵としての美しさ、洗練されたタイトル。柔らかい表現ながら、強く訴える力があります。型にはまらない、オリジナルな表現が高く評価されました。
・蓮井さんの作品:水しぶきが画面の外に飛び散りそうな勢いがあります。森にも、水にも、魚にも力が溢れています。蓮井さんは日頃から、よく自然を見つめているのでしょう。高度な表現力で、自然への深い思いを伝える、優れた環境ポスターです。
■銀賞
-
小学生の部
つくば市立今鹿島小学校
6年
黒木 草太 -
中学生の部
常総市立水海道中学校
3年
廣瀬 彩花 -
高校生の部
埼玉県立入間向陽高等学校
1年
井上 成望
-
小学生の部
奈良市立富雄第三小学校
2年
原田 宙 -
中学生の部
芦屋市立山手中学校
2年
杉山 友美 -
高校生の部
宮崎県立佐土原高等学校
1年
桐原 聖那
【審査委員講評】
・黒木さんの作品:トンボなどの昆虫の眼で見ている世界は人間とは異なっているといわれています。作品に表されたちょっとゆがんだような世界は,環境問題を人間の視点ではなく,トンボの視点から見つめていてポスターを見る私たちに様々なことを考えさせてくれます。
・廣瀬さんの作品:野菜や生き物などを組み合わせた絵は寄せ絵などと呼ばれ,諸外国だけでなく日本の江戸時代にも描かれていました。様々な生き物を寄せ絵の表現を活用して描いたこの作品は,自然に対する生き物たちの心の叫びが聞こえてくるような印象深いポスターに仕上がっています。
・井上さんの作品:地球が目の前で崩れていく様子とモノクロームの効果を上手に使った表現により心に深く残る作品となっています。私たちは日々の生活の中で何気に様々なものを消費していますが、これからの未来が無色ではなく色鮮やかな未来となるように努力をしていかなければなりません。
・原田さんの作品:しっかりと見つめて画面いっぱいに描かれたセミの表現から作者の思いが見る人に伝わってきます。背景の緑と標語の橙色の組み合わせがとても美しく画面全体をより高めていて,セミの愛嬌のある表情から「私たちは友達だよ」という声が聞こえてきそうです。
・杉山さんの作品:一羽一羽丁寧に描かれた鳥たちが集まりハートの形をつくっているというアイデアが秀逸です。夕焼け空の風景に飛ぶ鳥たちの人間に向けた「自然を大切にするだけでなく,自然と共存すること」が大切だというメッセージが見る人に伝わってきます。
・桐原さんの作品:広い海の真ん中で何とも言えない表情のシロクマの姿と「まったく,クマの気も知らないで。」の標語とが相まって見る人に忘れられない印象を与えています。とてもユーモラスな作品ですが,私たちのどこか知らないところでこのようなことが起こっているのではないかと深く考えさせられる作品です。
■銅賞
-
小学生の部
茂原市立二宮小学校
2年
蕨 紗来 -
中学生の部
八千代市立村上東中学校
2年
加藤 ジュリア -
高校生の部
女子美術大学付属高等学校
1年
土屋 日菜
-
小学生の部
神戸市立高丸小学校
6年
上原 瑞果 -
中学生の部
神戸市立太山寺中学校
2年
八塚 想 -
高校生の部
大阪市立工芸高等学校 2年
三上 希実
【審査委員講評】
・蕨さんの作品:画面に大きく描かれたホタルブクロの花と輝くホタルがのびやかに生き生きと表現された心に残る作品です。
・加藤さんの作品:地球に住む生きとし生けるものの命の大切さを美しく、哀しいまでに表現した詩情あふれる作品です。
・土屋さんの作品:ブロンズ像が酸性雨におかされていく着想が若者達の大志をも溶かしかねない、示唆を与える造形力を持った作品です。
・上原さんの作品:わかりやすい具体的な標語を丁寧な観察力で、画面に明快に表現した印象に残る作品です。
・八塚さんの作品:身近な問題をテーマにしたシンプルなデザインがポスターとして意識の高さを感じさせる作品です。
・三上さんの作品:画面全体に埋め尽くされた絶滅が危惧される動物達が丁寧に描かれ、今にも飛び出しそうな躍動感で訴えかけてくる作品です。
【審査委員講評】
・関口さんの作品:幾億もの美しい星が煌く夜空が大きく描かれている。澄んだ大気と人工の光がないところで私たちは壮大な宇宙を感じることができます(私自身もヒマラヤへ山を登りに行く度に観る美しい夜空にいつも感動しています)。私たちの住む地球が宇宙の一部であり、そして空の星たちに無限の可能性を学び、大きな夢をもらう、そんなメッセージがこの作品から伝わり、環境の大切さと人の絆を考えさせられます。
・坪内さんの作品:シンプルでありながら力強いメッセージを感じます。紙面中央に橋をかけ、上部に人間社会を、下部に魚たちの生きる「汚された」自然を表現しているのも、構図として明解で解りやすく、メッセージをストレートに伝える一助となっています。
■入賞:小学生の部
■入賞:中学生の部
■入賞:高等学校の部
【審査委員講評】
・川端さんの作品:シンプルな色遣いと構図がポスターとしての効果を高めています。標語の文字も明瞭でインパクトがあり、青地に白抜きの魚群の表現も見事です。環境保護を訴えるポスターであることが強く印象付けられます。
・檀浦さんの作品:自然を大切にしようという思いが、ほのぼのとした絵全体から漂ってきます。特に、女の子の表情と白い服とのコントラストが印象的です。
・鹿野さんの作品:全体的な淡い色使いが清い川の流れを表わしています。アユの特徴がよく描かれて、標語とうまくマッチしています。水を汚さない、川を守ることの大切さが伝わってくるポスターです。
・坂本さんの作品:地球と Cool down の文字の組み合わせがとても分かりやすくインパクトある標語となっています。そして蛇口から勢いよく流れる水がすぐにでも地球を冷やさなくてはと感じさせる、動きがある生き生きとした作品です。
・坂東さんの作品:夕暮れ、いつも通りかかる風景のなかに停泊するヨット。何気ない日常の時間に感じる穏やかな時間と美しい風景の描写にこの景色を心から「守りたい」という想いが伝わり、初夏の風と水の音まで聞こえてきそうな綺麗な作品です。
・井学さんの作品:真っ暗な空にまるで星のように浮かび上がる標語、最後の文字が抜かれたコンセントで、その下には青くほのかに広がる街のシルエットが描かれている。少しの光でも生活はできるということ、そして節電することによってその「ひかり」を未来へ繋げるられるというコンセプトとデザインが上手く表現されている作品です。
・長谷川さんの作品:ドキッ!とする切り口で眼をひくアイデアが光ります。大きく画面中央に書かれた「なりかねない」の標語もどこかユーモラスで、高校生らしいひねりを生かした表現になりました。また、結ばれたリボンの柔らかさや額縁、地球の画像も質感が的確に描かれています。
・小野さんの作品:身近なたこ焼き屋さんをモチーフにして、たこ焼きの丸い形を地球に見立て発想したところに親近感を覚えます。標語の文字も書体や言葉に工夫が見られ、関西弁でアツアツと最後にあかん!と斜め太文字に表現したところに作者のセンスをうかがうことができます。
・澤さんの作品:現代社会の消費を物語るような部屋の空間から、地球のドレスを纏った女性が、窓を通して木々のある自然を眺めている様子が描かれています。画面全体からは作者のねらいにそった仮想現実的な要素で構成された印象の表現になっています。