表彰式・作品レポート
2025年度の受賞作品をこのページでご紹介します。作者のコメント・審査委員の講評も併せて掲載しています。
【作品一覧】※受賞名をクリックするとそのポスターに移動します。
※過去の入賞作品はコンクールメモリーのページからご覧になれます。
| ブロック | 東日本 | 西日本 | 海外 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 484点 | 477点 | 29点 | 990点 |
| 中学校 | 1801点 | 664点 | 3点 | 2468点 |
| 高校 | 228点 | 419点 | 2点 | 649点 |
| 合計 | 2513点 | 1560点 | 34点 | 4107点 |
2025年度の第17回環境教育ポスターコンクールでは、国内からは4073 点、海外は11か国から34点の作品が集まりました。
2025年11月9日に明治記念館 蓬莱の間にて、多くの参列者のもと、表彰式を開催しました。第7回子ども作文コンクール表彰式との同時開催です。会場には受賞作品が展示されました。
ポスターコンクール表彰式では、環境省大臣官房環境教育推進室 黒部一隆室長より、ご挨拶と環境大臣賞の表彰状を授与していただきました。
表彰状・副賞の授与のあと、大臣賞受賞者からは、受賞者を代表してスピーチをいただきました。作品に込められた想いを話してくださいました。
式の最後には、岩田広己審査委員長より作品全体に対する講評がありました。
今年度は「緑豊かで平和な明るい未来のためにいま私たちにできること」をテーマに4,107点の応募がありました。数多くの応募作品の激戦を抜けて、授賞式の席に座っています。本当におめでとうございます。それぞれの作品見応えがあり、甲乙つけがたいものばかりでした。
審査をする際に一番気にかけていることが、まずは「テーマ」です。与えられたテーマに対して、皆さんがどのように作品を組み立てていくかに重点を置いて審査をしています。それをポスターという画面に自身の表現をしていくのは絵の上手い下手ではなく、何を伝えたいか、想いが熱く伝わる作品が入選作品になっているのではないでしょうか。
各賞に対して、簡単にコメントをさせていただきます。内閣総理大臣賞を受賞した中塚さんです。「水とともに」、技術的にも明解に青と手の透明感がフレッシュに伝わり、水の潤いや自然の大切さが感じられ、緑を潤す水に着目して、見事に落とし込んだ作品でした。
次に文部科学大臣賞、小学生部門の脇さんです。「地球を守るカードを選ぼう」、身近なトランプカードをテーマにして、選択一つで吉と出るか凶と出るかと環境に対して危惧を発している作品で、比喩的な表現で地球環境を大事にしてください。というメッセージがうまく伝わっている作品でした。
次に中学生部門の慶長さんです。「出てきたらゴミだらけ」、作品裏面の本人コメントに「道路にゴミと動物の死骸が倒れているところを見た」とあり、衝撃的な体験が作品制作のきっかけになっていました。美術の世界では日常的な体験が作品に結び付くことが多々あります。色合いも独特で個性的な仕上がりになっていました。
次に高校生部門の平田さんです。「君の行動で海は変わる!」、ダイレクトな作品でこの絵を見たら、「こんなことをしてはダメだ」というのが伝わる作品で原因と影響が無駄なく一つの画面に集約されていました。
環境大臣賞、小学生部門の縄さんです。「この地図を未来に残したい!」、我々の見慣れた地図に希少性の動物を各地域に配置することで、一見ここにこの動物が住んでいるということを伝えているのだけれど、いつ人間の手によって破壊されるか、温暖化による地形の変化で地図が変わっていくこと、先を見越して訴えている作品でした。
次に中学生部門の木津さんです。「もう限界・・」、これは本当にユニークで、動物を擬人化して目を惹くものになっています。お父様の好きなサウナを舞台設定にして、表現されているところも、日常と自分の訴えていくものを上手くミックスして表現しています。
最後に高校生部門の佐々木さんです。「この星を守れるのは、今を生きる私たちだけだ。」で、昭和風映画ポスターをモチーフにしている作品で目を惹くものでした。映画という非現実的なものを手法として、環境問題も非現実的だったものが現実の事象になっていると警鐘を鳴らしている作品になっていると思いました。
入選した受賞作品はそれぞれの視点で、それぞれの個性的な表現がされていて、非常に芸術性の高い作品になっていました。
選評を振り返って、皆さんの今後が楽しみです。先日、新しい金属有機構造体を発見した京都大学の北川先生の言葉で、「子どものころ絵を描くのが大好きだった。」と仰っていました。そういう方が大人になって、新しい構造体を開発したということを考えると、芸術は想像力を働かせて、未来的な目的に合わせて、先見の明を見出していく手段としては欠かせないものです。皆様、このポスターで受賞したことに甘んじず、日頃から芸術に触れていけば、いずれこの中からノーベル賞を受賞する方が出るかもしれないという期待を込めて、皆様の今後の活躍を期待したいと思います。
表彰式の終了後、環境問題に対して自らにできる行動を考えるきっかけになることを願って、「環境教育シンポジウム」が開催されました。
登壇者
本多 牧生 氏 (国立研究開発法人 海洋研究開発機構上席研究員)
中塚 千遥 さん (環境教育ポスターコンクール 内閣総理大臣賞受賞者)
縄 乃々香 さん (環境教育ポスターコンクール 環境大臣賞受賞者)
田中 瑠惟 さん (環境教育ポスターコンクール 安藤忠雄賞受賞者)
モデレーター
三浦 恵美里 氏(株式会社ミウラ・ドルフィンズ代表取締役)
第17回環境教育ポスターコンクール 受賞作品と審査委員講評
作文コンクールの受賞作品はこちらをご覧ください
■内閣総理大臣賞
※作品画像はクリックすると拡大します。
■文部科学大臣賞
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静岡市立安東小学校 5年脇 玲美奈
- 本人コメント
- トランプは手元にくるカードを選ぶことで、その後の運命が大きく変わる魅力的なゲームです。
地球環境や未来も私たちの選択によって運命が大きく変わることを大好きなトランプで表現しました。
みんなで地球の為の最善のカードを選びましょう。
- 審査委員講評
- 地球の環境保全は人間の考えやその選択によって、大きく左右されることをカードゲームに例え、どの様な世代にも問題意識を共有することに期待できる作品となっています。メッセージ性があり、明るく楽しい画面で前向きな思いを感じる力作となっています。
鎌ヶ谷市立第三中学校 3年慶長 美春
- 本人コメント
- 私は先日、道路にゴミと動物の死体が倒れているところを見ました。とてもショッキングな出来事で、この様なことを後世に繋いではいけないという思いから描きました。
- 審査委員講評
- 日常の体験から環境の問題点に着目し、日頃から様々な思いを感じながら過ごしていることがうかがえます。まさに私たちの環境は知らず知らずのうちに、破壊へ繋がり、気付いた時に大きな問題へと繋がる危険をはらんでいます。個性的な色合いと画風も相まって、先を見据えた優れた作品となっています。
東京都立工芸高等学校 定時制高3年平田 一瑠
- 本人コメント
- 今の世の中、海では人間が捨てたゴミによって多くの海洋生物が苦しんでいる。その現状をゴミで形どり死んだ魚という表現をしました。兵庫で書いた「君の行動で海は変わる!!」は良くも悪くも一人一人の行動の積み重ねによって今後の海の環境は変わってしまうという意味を持たせた。絵の中でも「海は変わる」の部分で汚い海から清らかな海に変化している。
- 審査委員講評
- ダイレクトに伝えたい思いが無駄なくまとまった、画面構成になっています。何が問題で、何に影響があるのかを丁寧に描写し、一つの画面に集約し、単刀直入で明快な作品で、潔く注意喚起を促す力作となっています。
■環境大臣賞
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札幌市立資生館小学校 6年縄 乃々香
- 本人コメント
- 私は動物が好きです。地球上にはたくさんの生き物が住んでいます。絶滅しそうな生き物も多いです。私は沢山の生き物たちと豊かな自然を未来へ残したいと思いこの絵を描きました。
- 審査委員講評
- 日常的に見慣れた地図を利用して、我々が暮らす地球を見下ろすかたちで画面作り行い各地の希少な生き物を題材に地球環境の大切さを訴える作品となっています。簡単に動かせる動物のカードを通じて、環境破壊によって弱者が簡単に滅びてしまうことを防ぎたい願いを感じ、丁寧な画面構成により魅力的な作品に仕上がっています。
広尾学園中学校 3年木津 綾乃
- 本人コメント
- 私は地球温暖化をテーマに、今年の夏のうだるような暑さをサウナで表現しました。ペンギンの親子や白熊、そして地球が暑さで苦しんでいる様子と「もう限界‥。」という切羽詰まった感じが伝わるといいです。
- 審査委員講評
- 地球温暖化をテーマに、誰れもが理解しやすく非常にユニークな設定で伸び伸びとした作品であります。年々増す暑さに成すすべがなく、耐えるしか無い様子を擬人化したモチーフにより象徴的に表わされ、人々への共感と環境問題への注意喚起を促す思いが感じられる力作であります。
神奈川県立神奈川工業高等学校 1年佐々木 由芽
- 本人コメント
- フィクション作品のテーマとして多く扱われてきた「地球滅亡の危機」ですが、地球温暖化の影響を強く受けるようになった現代では決してフィクションとして扱う事の出来ない現実的な問題へと発展しています。
危機迫る今だからこそ、私たち一人一人が映画の主人公のように、地球を想う気持ちを強く持ち、行動を起こしていきたいという思いを、昭和映画のポスターをオマージュすることで表現しました。
- 審査委員講評
- 映画というフィクションの題材と広告形式を用いて画面構成をし、温暖化の危機感をリアルな現実として感じさせる契機として、環境問題を提唱しています。映画という非現実的な物語と現実との距離が近づく危機感を示し、我々の生活を見直すべきであることを訴える力作となっています。
■理事長賞
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■審査員特別賞
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江東区立東雲小学校 5年下川 遥斗
- 本人コメント
- 人間の勝手な行動で絶滅危惧種が増えたり、自然が減って環境が変わってきています。動物と人間が安心して暮らせる未来のために、一人一人が関心をもつことが、かけがいのない地球を守ることにつながると思い、描きました。
- 審査委員講評
- 地球で暮らす上で大切なことを、動物たちは学んでいるというのに、人間は涎を垂らして眠っているではありませんか! これはいけません。シニカルで、ユーモアのセンスにクスッと笑ってしまうけれど、笑っている場合ではありませんね。私たち人間も怠慢だった部分は反省し、しっかり学んで、この地球の一員としての責任を果たしたいものです。
豊岡市立豊岡小学校 4年田中 優羽
- 本人コメント
- 毎年少しずつ地球温暖化が進み、魚たちの住む海も暖かくなり、住む場所が減る傾向にあります。これは、環境の変化によるものです。
僕の住む豊岡市も例外ではありません。魚たちが生息できる環境を保全することは重要です。
- 審査委員講評
- 環境保全に着目し、地球温暖化や水質汚染の影響を大きく受ける魚たちの代弁をしてくれたのですね。まず最初に、紙からはみ出す勢いの魚とイカたちが色鮮やかで目をひき、続いて「僕らを助けて」というメッセージが胸にずしんと響きます。思い切った大胆な色使いとタッチで、小学校四年生とは思えない迫力ある作品になりました。
守谷市立御所ケ丘中学校 3年飯田 萌々華
- 本人コメント
- ミツバチは様々な植物の受粉の手助けをしており、自然界では森林を豊かにし、地球を守っています。
このポスターでは、ミツバチなどの小さな生き物が生きていく環境を大切にして、未来まで豊かな地球を繋いでいこうという思いを込めて描きました。
- 審査委員講評
- 色選び、デッサン、構図を含めて、バランスが整った、非常に安定感を感じる作品です。ミツバチや花ももちろんですが、イチゴが特に上手に描かれていて、質感が伝わりますし、口にした時の甘みまで感じるようです。ミツバチたちが元気に活動できる自然環境を守ってゆきたいという作者の思いが、きちんと伝わっています。
■優秀賞
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札幌市立厚別東小学校 6年坂本 悠珠
- 本人コメント
- 北極や南極の氷が溶けてしまっていることを本で知り、大好きなペンギンの住処がなくなってしまうと思いました。このポスターで人間のせいでこんなに悲しいことが起こってしまうかもしれないということを伝えたいです。
- 審査委員講評
- 画面左右には、大量の様々な種類のゴミが、隙間がないほど一杯に描かれています。その場所に、ペンギンが描かれ、途方に暮れたかのように上を向いています。中央の「また、いっしょにお魚食べたいね」といった文字からも、人間が出したゴミでペンギンたちの住処がなくなってしまわないようにしたいという熱い思いが伝わってくる作品です。
津田学園小学校 1年廣田 百々花
- 本人コメント
- あざらしに絡みついたゴミやロープを服に見立て、そのゴミが原因で苦しんでいるあざらしの姿を表現しています。
- 審査委員講評
- 画面中央のアザラシの表情はつらそうな顔をしていて涙を流しています。一瞬服を着ているかのようですが、体にはロープや缶、マスクなど様々なゴミが絡まっていることが分かります。「わたしのふく くるしいよ」の言葉からも、人間の出すゴミが、海に住む動物たちに影響を及ぼさないために環境問題を考えようというメッセージが伝わってきます。
中央区立銀座中学校 3年加藤 小青
- 本人コメント
- 幼い頃はシャボン玉が遠くへ飛ぶことを願いました。今の願いは「自然が未来へ続くこと」です。
自然は壊れやすく、一度失えば戻りません。水や森、海や里山の危機を壊れやすいシャボン玉に例えました。背景の夕暮れは「世界週末時計」が示すように残された時間が限られていることを表しています。けれど今ならまだ間に合います。私たちは未来を変えられるのです。
- 審査委員講評
- 画面の上側には鳥や花、美しい風景などが映し出されたシャボン玉が描かれていて、一瞬で消えてしまう可能性を表しているようです。下側には、人と街のシルエット、その周りの赤色は、夕暮れと同時に残された時間の少なさが表されています。我々人間が豊かに生活する裏で、美しい自然が失われていかないように、今行動することの大切さを伝えている作品です。
■安藤忠雄賞
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■三浦雄一郎賞
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■学研賞
作品を多数応募し、学校全体で環境活動に取り組まれている学校にお贈りしています。
静岡県 静岡サレジオ小学校
大阪府 大阪市立淀中学校
■入賞:小学生の部
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川越市立寺尾小学校 4年木本 美羽
- 本人コメント
- 人間の手によって動物のすみかである森林などが壊され野生動物の数が減っていることを知り。これ以上自然を壊さないで欲しいという思いを込めて絶滅危惧種のスミレコンゴウインコを描きました。
- 審査委員講評
- 絶滅危惧種であるスミレコンゴウインコという鳥のことをこのポスターで初めて知りました。この種をはじめ多くの生き物たちが人間の行動によって棲家を奪われ、絶滅の期に瀕しているという、切実な思いを訴えるとてもいい作品です。
千葉市立大椎小学校 6年笠倉 琉李
- 本人コメント
- 自然の生態系は、互いに支えあって絶えず巡る関係性です。
しかし人間は大量に生産、消費、廃棄するなど地球に負荷をかけ、"つながり"から浮いていると感じています。私たちは生きものたちとのつながりで生きていることを忘れず自然の"りんね"に溶けこんでいくための新しいつながりを紡いでいきたいと思いました。
- 審査委員講評
- 女の子と男の子、そして後ろには大きな鯨やたくさんの動物たちがみんな笑顔で描かれています。地球の周りに書かれている「紡ごう・つなごう」というメッセージを中心に地球に生かされている私たちが取るべき行動を促してくれる、そんな作品になっています。
神戸市立東落合小学校 1年藤田 優也
- 本人コメント
- 水を出しっぱなしにしないことで地球を守れると知りました。そこで僕がいつもシャワーを出しっぱなしにしないでお風呂に入っている様子をポスターにしました。
- 審査委員講評
- 地球環境に自分は何ができるだろうか?まずは身近なところで自分が実際できること、それが大切な一歩につながるということを絵にしましたね。虹と笑顔と体を洗っている泡、そして文字など色使いも楽しい作品です。
■入賞:中学生の部
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世田谷区立瀬田中学校 3年坂間 杏
- 本人コメント
- 今年もまた熱くなったなと、外に出るたびに考えていました。でもよく考えたら毎年言っているような気がします。言うだけで、特に危機感を感じて行動をしたわけではありませんでした。慣れという恐ろしさを今年改めて実感しています。
インパクトのある色使いや印象であまり美しいとはいえない作品にすることでこの現状を突きつけハッとさせられる時間が作れば私は大好きな絵で行動を起こしたと言えると思いました。
- 審査委員講評
- 「温暖化になれていませんか?」という言葉にはっとさせられます。描かれているのは、赤色の人々、服装や背景、持っているものも暖色で表されています。毎年暑い日が更新されていく中で、慣れてしまう人々を激しい色で表すことで、温暖化の問題を見る人に効果的に伝えるように工夫した作品になっています。
守谷市立御所ケ丘中学校 2年三木 歩実
- 本人コメント
- 数年前から海に捨てられたゴミを餌と勘違いして食べてしまったという事例をニュースなどで聞いたことがあり、それによりエサを食べられなくなるカメを減らし小田井と考え、ボランティア活動を積極的に行う人が多くなればなと思いました。私自身もボランティアに参加し、海を守っていきたいという思いを込めて描きました。
- 審査委員講評
- 描かれた海の中には、ペットボトルやプラスチックのゴミが漂い、その中をウミガメが泳いでいます。画面の上側に注目すると、ゴミを拾おうとしている様子も描かれています。「返して!僕達の海」の言葉からも、海の生き物たちが、間違えてゴミを食べないように、ゴミをなくしていこうという強いメッセージが伝わってくる作品です。
神戸市立飛松中学校 2年ウィルソン 美咲
- 本人コメント
- 北極と南極の動物が、私たち人間が捨てたゴミや汚染で氷が溶け、川に流されているところを描きました。
この先、動物たちはどこに向かうのか、皆さんはどう捉えますか?動物たちの未来のために、今、どう行動するかにかかっています。
- 審査委員講評
- 溶けていく小さな氷に乗ったペンギンやシロクマなどが、周囲のゴミと一緒に画面上部へと流されています。その背景は真っ黒で、より困った状態へ向かっているかのようです。「私達は滅亡の寸前 これは事実。向き合え‼」という言葉からも、動物たちの未来のために、私たちがどのように行動するかを今考えようというメッセージが伝わってくる作品です。
武蔵野学芸専門学校 高等課程 1年小日向 澄
- 本人コメント
- この作品は地球温暖化をテーマにしたものです。気温の変化をより印象的に可視化するため、サーモグラフィに置き換えてポスターにしました。地球や手はビビットで元気な印象にすることで多くの人の目に留まるようにし、現状がどれだけひどい状況かを表現しました。
- 審査委員講評
- 一目でわかる地球の温暖化をピクセル状に描いて表現したのはアイディアでしたね。それが効いていて、背景との対比で浮き上がるように見える地球が痛々しく、危機が迫っていることを実感させます。熱した地球を支えようとする手のひらも火傷しそうです。草木の緑と水の青で輝く、本来の美しい地球の色を取り戻したいです。
■入賞:高校生の部
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武蔵野学芸専門学校 高等課程2年大山 眞凛
- 本人コメント
- 私は、「楽だから」と捨てられたゴミが海を汚し、罪のない多くの命を奪っている「自分の行動を選択できる私たちとただ追いやられて声も出せない、涙も流せない生き物たち」というテーマで責任感を持つことの大切さを訴えています。
- 審査委員講評
- 地球環境に、どのような未来を欲するのか。選ぶことができるのは、今ここに住む私たちです。作者はきっと様々なシチュエーションに想像力を馳せたのでしょうが、それらどの場面も丁寧に描かれています。一枚ずつ写真の体を取ったのは良いアイディアで、未来を託された私たちに、わかりやすく選択肢を示してくれています。明るい未来への希望が込められた作品になりました。
武蔵野学芸専門学校 高等課程2年吉田 呼春
- 本人コメント
- このポスターは年々増加するマイクロプラスチックの被害を受ける海の生物をテーマにゴミそのものになってしまった魚を描きました。
そして本当にこれでいいのか答えを問いかけるポスターに仕上げました。
- 審査委員講評
- ユニークなこの作品を一見するだけでは、何が描かれているのか分からないのだけれど、何故か惹かれて見入ってしまいました。そこにいるのは「ゴミそのものになってしまった魚」と理解してから改めて見ると、突きつけられた現実が浮き彫りになり、ゾッとします。命あるものと無機質なものとを見事に結びつけている力強い作品です。
銚子市立銚子高等学校 1年吉田 あこ
- 本人コメント
- 昔話の「桃太郎」を通して、川の汚れや環境破壊が未来の物語を奪ってしまうことを表現したいと思いました。身近な童話に重ねることで環境問題を自分毎と感じてほしいという思いを込めて描きました。
- 審査委員講評
- 第一印象は、桃がとても美味しそうだということです。桃を手に取った時の丸みあるザラッとした手触りを感じるほどです。どんぶらこと流れてきた見事な桃だけれど、こんなにゴミがいっぱいの川では、おばあさんは拾いませんね。美しい山並みと川の汚れの対比が上手に描かれているだけに、現状が厳しいことを訴えかけています。
京都精華学園高等学校 2年及川 永顕
- 本人コメント
- 山にエサが無くなって人里におりてきた野生動物を描きました。人間も動物も安全に暮らせるように自然が戻ればいいなと思い描きました。
- 審査委員講評
- どこかの民家か倉庫かに入り込んでスイカを食べているサルとクマの表情とシニカルな目つきもいいですし、「だって山に食べ物ねえじゃん」と言われれば、返す言葉がありません。人間は覗き穴から見ているのでしょうか。その視点も面白いです。野生動物たちによる農作物被害や人的被害は年々増加傾向にあり、特に今年は人がクマに襲われるニュースが多いです。早急な解決策が必須であると共に、クマが駆除される遠因が人間にもあることを胸に刻まねばなりません。
和歌山市立和歌山高等学校 1年東 花帆
- 本人コメント
- 自然環境を人間がどれほど脅かしているかについて警鐘を鳴らしたいというような考えで描きました。
このポスターを通して、人々の心に生物達の多様性を守ることの意義について考えてほしいと思います。
- 審査委員講評
- 構図もいいですし、生物多様性というテーマを巧く表現していると思いました。それぞれの動物たちを細部まで丁寧に描き切ろうという気持ち、すなわちこの現実を変えてゆきたいという作者の切なる願いが伝わってきます。動物たちのまっすぐな視線を、私たちは受け止められるのだろうか? 悲しさを漂わせながらも美しく、考えさせられる、胸に迫る作品になっています。
■海外賞
※作品画像はクリックすると拡大します。
【金賞】
EF Academy International Boarding Schools Pasadena(アメリカ) 高校2年梅澤 まりあ
- 本人コメント
- 私はロサンゼルスの高校に通っています。2025年1月には、アメリカ史上類を見ない大規模な山火事を経験しました。
3週間燃え続けた炎は、学校から1.5kmの距離まで迫り、友人の家を含む多くの住居や近隣の学校が焼失しました。東京23区の3分の1にあたる面積が焼け野原になり、炎によって野生動物やペット達も住処や食物を奪われ、壊滅的な被害を受けました。ポスターを通して、山火事防止と小さな命を守ることの大切さを伝えたいと思っています。
- 審査委員講評
- 燃え盛る炎と風に大きく煽られる背景に真っ直ぐとこちらを悲しそうな目で見つめる動物たちの姿は、失われた命や棲家を奪われた彼らの声なき悲鳴が聞こえてきます。自らの体験をもとに描いた作品には説得力があり、山火事防止のアクションを起こそう!という力強いメッセージが伝わります。
【審査員特別賞】
ペナン日本人学校(マレーシア)
小学4年山本 菜月
- 本人コメント
- 人間だけじゃなくて、動物たちも一緒にゴミを拾えたら楽しそうだなと思って、ゴミ拾い隊の動物たちが行列をつくってゴミを拾っている絵をかきました。また、先頭のゾウさんに木でできた看板を持たせてあとからゴミ袋や、ゴミを持った動物たちがつづいてたらかわいいなとを思い動物たちの行列の絵をかきました。
- 審査委員講評
- 平和な未来という言葉にぴったりな、人間も動物たちも一緒になって楽しそうにゴミ拾いをしている、思わず心がほっこりと温かくなる作品です。私たちの中にある夢を膨らませて地球環境を守っていきたいですね。
