第10回環境教育ポスターコンクール
※企画展「環境マンガと子どもたち」(日本漫画家協会協力)についてはこちら
ブロック | 首都圏 | 西日本 | 合計 | |
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小学校 | 校数 | 91 | 107 | 198 |
点数 | 619 | 1017 | 1636 | |
中学校 | 校数 | 125 | 81 | 206 |
点数 | 1549 | 1750 | 3299 | |
高等学校 | 校数 | 28 | 25 | 53 |
点数 | 274 | 327 | 601 | |
合計 | 校数 | 244 | 213 | 457 |
点数 | 2442 | 3094 | 5536 |
2018年11月24日に東京ウィメンズプラザ(青山)にて表彰式を開催しました。
オープニングとして、IPU・環太平洋大学ダンス部によるダンスが披露されました。
1曲目はチアダンス「GO! WARRIORS!」。アップテンポな曲に合わせたダイナミックな動きのダンスでした。2曲目は創作ダンス「いま、蘇る〜その生命の輝きに、心を奪われた〜」。日本を象徴する鳥として国鳥に指定されている「キジ」を表現したしなやかで素晴らしいダンスでした。
今年の表彰式では、第10回を記念して、「子ども環境学習発表会」が同時開催されました。
5チームの子ども達が、自分たちでテーマを決め、調べ学習を行った成果を発表しました。発表の最後には、「自分たちがこれからどんなアクションを起こしていきたいか」を宣言していただきました(「環境宣言」)。
ニュージーランド・ブータンから環境に対する取り組みを紹介するビデオメッセージも届いており、上映されました。
発表後は、会場にお越しの皆さんに、「もっとも心に残った発表」1つを投票していただきました。見事最優秀発表に選出された赤磐市立山陽小学校の皆さんには、再度壇上で「子ども環境宣言」を読み上げていただきました。
子ども環境学習発表会のレポートはこちらのページでご覧いただけます。
表彰状の授与式では、受賞作品がスクリーンに映し出され、審査委員の先生方から賞状と副賞を受け取る際に、受賞作品の講評をいただきながら、改めて作品を鑑賞しました。
また、文部科学大臣賞の受賞者3人から、受賞者を代表してスピーチをいただきました。3人とも、緊張しながらも、堂々と作品に込めた想いを話してくださいました。今回は海外からの応募作品が89点あり、海外部門の金賞・銀賞・銅賞・特別賞が贈られています。今年は特に日本人学校からの応募が増加し、応募国数も10を数えました。
横山勝樹審査委員長の総評では、「1人1人の作品がそれぞれ個性を持っていて、違う観点を持ち、1人1人の表現の仕方をしていた点が非常に素晴らしかったです。
アメリカの生物学者レイチェル・カーソンは、「自分が見たものを植物の種として例えるならば、その栄養となるものが土である。その土は人間の感情や気持ちでできている。それによって種が育ち、幹になり、枝になり、葉になり、花になる。それが知恵であったり、知識である」と述べています。皆さんがたくさんの物事を調べ、学んでいくことはとても大切です。でも、カーソンが言うように、皆さんが自分の目で見て、そのときに思ったこと。嬉しいと思ったこと。悲しいと思ったこと。そして、怒ったこと。皆、大事なことです。そのことを心に留めて、表現をしていっていただきたいと思います。そのことが皆さんの作品にしっかりと表れているから、私達は素晴らしいと思いました。」というお話を頂きました。
式典終了後は、受賞者、審査委員の先生、「子ども環境学習発表会」の発表者、ご家族や学校の先生、来賓の方々も一緒になって、記念撮影を行いました。
第10回表彰式のハイライト動画をご覧いただけます。
第10回環境教育ポスターコンクール:審査員講評と講評
■文部科学大臣賞
【審査委員講評】
・竹村さんの作品:うみのいろとそらのいろに、みずいろやあおをつかわないようにして、うみのみずが、あったかくなってしまったことをじょうずにえがいてます。まんなかの大きなジンベエザメや、まわりのちいさなさかな、タコやイカ、そしてかいそうが、じょうずにならべてかいてあるので、みんなで「あっちっち」といっているこえがきこえてきそうです。ひょうごのことばも、とてもユーモアがあって、もじのいろもかえているので、とても見やすいです。
・林さんの作品:バランスとつながりは自然にとって大事なことですが、同じことは絵にもいえます。そのことを逆手にとって、あえてキューブを不安定に積み重ねつつ、ぎりぎりのバランスを保たせたこの構図のアイデアは、発想力の豊かさを感じさせてくれます。そしてこのバランスをブルドーザーで壊そうとしている空から伸びてきている手は、幼い子どもが遊んでいる無邪気さを表していますが、それが逆に大人の傲慢さを暗示させます。標語のもつメッセージを分かりやすく画面にした力作です。
・野村さんの作品:プラスチックごみによる海洋汚染は、現在世界中の人々が深刻に感じている環境問題ですが、それを関西弁のユーモアあふれる一言で表現したインパクトある標語です。画面をはみ出すほど大きく描かれたクジラの口もとと背景の怪しげな雲行きの立体感あふれる描画力と構図に優れた力量を感じます。プラスチックごみが鯨ひげに挟まっている繊細な表現が、さらに画面全体のダイナミックさを際立たせています。
■環境大臣賞
【審査委員講評】
・牧さんの作品:黄色の背景の上に、カラスの黒、ゴミ袋の黒、そして標語の黒が組み合わせられていて、力強い画面に仕上がっています。標語もユーモアのセンスを感じる印象的な言葉です。緑の大陸と青の海に、だんだんとごみが広がっていく様子が上手に表現されていて、さらに地球の円の上におなかをふくらませたカラスが乗っかっている構成に、独創性が感じられます。
・木村さんの作品:壮大な標語を、金魚すくいの紙ポイを持つ手で表現した、洒落っ気のあるポスターです。不思議な雲の形が、人によっていろいろな意味を連想させる楽しさもこめられています。日本列島でしょうか?猛獣に追われるウサギでしょうか?そして目立たぬように描かれている四葉のクローバーにかすかな希望が暗示されています。濁流の描画力も優れていて立体感あふれる画面となっています。
・諏訪さんの作品:有名な葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」をモチーフとして、離れて見ると立体感あふれる画面となっている一方で、近くから見るとゴミの細密画となっていています。さらによく見ると富士山と船もゴミで表現されていることが分かります。部分と全体をダイナミックに組み合わせることで海洋汚染の問題が象徴的に表現された力作といえます。傾いたスカイツリーに立つ少女の姿から、危機に立ち向かおうとする作者の強い意思が感じられます。
■金賞
【審査委員講評】
・篠田さんの作品:海の中にできた大きな穴に沢山の廃棄物が詰まった様子が描かれています。私たちは豊かな生活の中でたくさんのゴミも排出しています。描かれた大きな穴がクジラの形で表わされているように,それは単に環境を汚しているだけでなく,全ての生き物を代償にもしていることをこのポスターは伝えています。
・中川さんの作品:真っ青な美しい空の下,青々と茂った芝生のサッカーグラウンドの真ん中に私たちの地球が描かれています。この美しい風景と「五年後の夏もまだ僕らは外でボールを蹴れるのだろうか」のキャッチフレーズは,見る人それぞれに今一度自分の身の回りを振り返り,環境問題について考えさせることでしょう。
・野村さんの作品:「ぼくたちの地球を守る会」で動物たちが集まり,環境問題について考えているそれぞれの様子がユーモアたっぷりに描かれていて見る人を惹きつけます。この地球は決して人間だけのものではなく,今、この時に生きている全ての命のものであることを改めて考えさせてくれるポスターです。
■銀賞
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小学生の部
カリタス小学校
1年
M・A・Sakithma minuki
Madurapperuma -
中学生の部
四街道市立四街道西中学校
3年
村上 千奈 -
高校生の部
埼玉県立大宮光陵高等学校
1年
丸山 晶
-
小学生の部
枚方市立枚方第二小学校
5年
橘内 彩央 -
中学生の部
宇和島市立城北中学校
2年
有友 彩 -
高校生の部
高知市立高知商業高等学校
3年
石﨑 実鈴
【審査委員講評】
・Madurapperumaさんの作品:本作品について、まず驚かされるのはその描写力です。小学校1年生の作品とは思えないレベルの高さです。しかも描写力だけでなく、ポスターの命とも言えるメッセージ性も随所に感じさせる作品に仕上がっています。たとえば、背景の退廃的な色と水滴と思われる明るい水色のコントラストは、現状とあるべき未来を想像させますし、水滴の中に配した$の入った袋は、お金のために生き物を殺さないでという叫びを聞き取ることができます。その他にも作者の考えが絵の中の各構成物に隠されていると思います。是非それらを聞きたいものです。
・村上さんの作品:本作品について高く評価したい点が二つあります。
一つは、リサイクルマークへの注視を主題とした結果、リサイクルを直接訴えるよりも、むしろその効果が高まっているという点です。ここに示されたリサイクルマークのうち、どのくらいが一般的に知られているでしょうか。思わず各マークの意味を考えたくなります。訴えている女性の一生懸命な表情もその効果を高めています。
もう一つは、ポスターとしてのシンプルさ・分かりやすさと、結果としての訴える力の強さです。青と白という配色は人目を引くものですし、それが放射状に配置されることによって、メガホンからのメッセージが目の前に飛び出してくるようです。
いずれにしても、ポスターの本道を行く作品であると思います。
・丸山さんの作品:さすがは高校生の作品です。随所に工夫が見られます。
地球温暖化をアルコールランプによって表現する象徴性の豊かさ、ランプの上の雪(氷河?)の小ささとシロクマの途方に暮れた表情が訴える危機的状況の表現、標語の文字の小ささとシロクマ生息地の縮小とのシンクロ、標語の最後の「あ」が小さい「ぁ」と表現されることによるシロクマの絶望感の表現などなど、ポスターとしての仕上がりは非常に高いレベルにあります。
色使いについても全体として危機感を感じさせます。アルコールの色は何を主張したかったのか、想像をかき立てます。
・橘内さんの作品:環境保全活動にとって3R(Reduce/Reuse/Recycle)はとても象徴的な言葉ですが、近年これにRefuseを加えて4Rを目標とする自治体や企業が増えてきました。小学生がこれにいち早く目を付けて、作品に仕上げた点はすばらしいと思います。
作品の構成としては、絵の前面に子どもたちの手を配置して、皆で協力して活動を進めようというメッセージを感じます。子どもたちの笑顔と相まって、明るい未来を期待させる作品に仕上がっています。
・有友さんの作品:緑を守ることをメッセージにした作品は、植物や森を写実的に表現して、ダイレクトにそれらを大切にしようと訴えるものが多いのですが、この作品は、育てた緑の先に、他の植物はもちろんのこと、澄みわたる空や雲、動物などを配置しており、広く自然界がつながっていることを見事に描き出しています。また、絵の中の構成物は精細に描き出されており、見事としか表現できません。さらに色使いは鮮やかで、視線を強く引きつける作品となっています。
・石﨑さんの作品:何とも意味深な標語です。そもそもこの言葉は、1961年に人類初の宇宙飛行をしたガガーリンが地球を見て発した言葉ですが、ここでは、「今は赤い地球だが、かつては青かった」と回想した言葉として使われています。しかも「青」の文字だけ青色で浮き上がらせ、現状との対比を効果的に表現しています。
さてその地球ですが、この赤色は温暖化を象徴しているのだと思いますが、KEEP OUT(立ち入り禁止)というテープを前面に配置することによって、地球が、立ち入ることのできない危険な状況に陥っていることを強く主張しています。
このように、全体として、ポスターならではの象徴性の高い作品に仕上がっています。
■銅賞
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小学生の部
台東区立台東育英小学校
6年
山藤 大地 -
中学生の部
練馬区立谷原中学校
2年
小野 葵衣 -
高校生の部
神奈川県立弥栄高等学校
1年
片神 小百合
-
小学生の部
伊丹市立南小学校
6年
田中 美颯 -
中学生の部
舞鶴市立青葉中学校
3年
松本 陽花 -
高校生の部
滝川第二高等学校
1年
鈴木 花奈
【審査委員講評】
・山藤さんの作品:大きく画面中央に魚をまな板に乗せ,今から調理する場面です。魚のレントゲンに見立てた面白い切り口のアイデアが光ります。立派な鯛やまな板の木目,包丁や皿など的確な表現になりました。白抜きで表した美しい文字も眼をひきます。
・小野さんの作品:12色の並べられた絵の具の緑色のチューブが葉っぱに彩色され,あと少しで塗り終える場面です。身近な絵の具を題材にして発想が豊かで楽しいものになりました。葉っぱのデザインも曲線や直線,点と線の組み合わせやリズム感のある絵の具の並べ方にも工夫がみられます。
・片神さんの作品:写実的で異空間な要素もある静物画の題材のように画面中央に何重にも包装されたものが構成として表現されています。青を基調に使用する色を絞り,結ばれたリボンの質感,箱の立体感,包装紙のしわと折り目などの描写から高校生らしい高い表現がみられます。
・田中さんの作品:温暖化が進み氷の家がくずれて狭くなり,ペンギンの一家がひと所にかたまっている様子と,標語がどこかユーモラスで楽しい表現になりました。「STOP!」の文字もポップ調のデザインで色彩も暖かな色味にするなどの工夫がみられました。
・松本さんの作品:汚染の進んだ場面としてモノクロームで効果的に描かれた風景と手にしている過去と思われる風景を見比べたような場面構成になっています。煙突や煙の黒ぐろとした描写と木々の立つ瑞々しい自然の対比が過去,現在,未来に伝える確かなメッセージになりました。
・鈴木さんの作品:温暖化の影響で住かと居場所を失っアザラシが,都会の真ん中のベンチで眠る様子が描かれています。ポイ捨ての空缶や吸い殻,カラスが見ているなかで,新聞紙にくるまって横になるアザラシの表情にせつなさを感じます。環境問題と社会問題を提起するメッセージが強く伝わります。
【審査委員講評】
・曽田さんの作品:大空の虹を背景としてまるで踊りだすような<みんな>と<なかよく>の字、地球に住む様々な生き物たちが笑顔で描かれて、環境と向き合うときに一番大切な考え方をのびのびと表現している。
心から楽しく世界を明るい気持ちにさせてくれるとても素敵な作品。
・山屋さんの作品:環境の為に私たちが出来るまず第一歩は、限りある資源・食糧・エネルギーの無駄遣いをやめること。「のこさずたべよう」というシンプルなメッセージには、その一歩を踏み出す大切な意味が込められています。のびやかに描かれた笑顔の女の子とピカピカの食器からは子供らしい元気も感じられ、他の作品と違って、明るく前向きに環境問題を考える姿勢に好感が持てました。
■イオントップバリュ賞
【審査委員講評】
・堀さんの作品:耳のついた宇宙服を身に付けたのはシロクマの親子でしょうか。赤く描かれた地球から去って行く様子が,地球の温暖化によって住みにくくなった動物たちの現状について伝えています。人間だけの視点ではなく地球に住む生き物全ての視点から環境問題を考えさせてくれるポスターです。
・大縣さんの作品:小さな苗木が1本育っています。青い空には白いくもがおだやかに,うかんでいます。とても簡潔で素直な表現が共感をよぶ作品になりました。そして一言「森になりたい」と幼い1本の苗木が言っています。明るい未来に期待が持てるメッセージが私たちに伝わってきます。
■入賞:小学生の部
■入賞:中学生の部
■入賞:高等学校の部
【審査委員講評】
・中川さんの作品:ゴミだらけの地球がゴミ箱に捨てられている様子がとてもユーモラスに描かれています。私たちの日々の環境に対する心構え一つで,泣いて涙をいっぱい流しながら「ゴミ箱から出してよー」と言っている地球を助けることができるのだと思います。
・髙橋さんの作品:海の中に沈んだたくさんのペットボトルや缶の中に,魚が涙を流しながら悲しげに埋もれている姿がとても印象的です。私たちの地球には様々な生き物が共存しています。このポスターは,人間の豊かさだけを追究するのではなく,全ての生き物の豊かさを考えることの大切さを伝えています。
・茂木さんの作品:公園や街中などに捨てられているゴミの数々を、人間ではなく、他の生き物、カラスが片づけているという発想、シンプルなメッセージとはっきりした色使いがとてもインパクトのある仕上がりとなっている。羽音が聞こえてきそうな描写でとても訴求効果の高い躍動感ある作品。
・森下さんの作品:湖から出てきた女神が持っている金の斧と空き缶、水や背景の森がとても細やかに描かれていて絵のうまさと、それぞれの色使いが綺麗な完成度の高い作品。にこやかに微笑みながらの問いかけが、自然を守ることの大切さを優しく教えてくれる。
・山片さんの作品:選考会で並べられた多くの作品のなかでひと際目立っていた。街角で貼られていたら思わず足をとめてしまうような、絵と言葉の組み合わせで、素晴らしいユーモアに溢れた楽しい作品。
・阿部さんの作品:波打ち際、透明で綺麗な水から寄せる波の音が聴こえてきそうな描写にゴミが打ち寄せられている。うつむいた先の視点がせっかくの美しい水が汚されているという、見ている者の悔しさが伝わり共鳴できる作品。